フリーミアムを活用したサービスの成功事例12選!失敗しないための注意点を解説
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フリーミアムを活用したサービスの成功事例12選!失敗しないための注意点を解説

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フリーミアムを活用したサービスの成功事例12選!失敗しないための注意点を解説

記載されている内容は2021年09月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年09月24日

更新日:2022年03月03日

「そもそもフリーミアムとは?」というところから解説をし、成功事例を挙げながら、無料会員から有料会員にさせる誘因を例示しています。また注意点にも触れて、これからフリーミアムで成功したいという人たちに向けてためになるポイントを挙げています。

フリーミアムとはどんなビジネスモデルのこと?

フリーミアムと言う言葉をご存知でしょうか。

フリーミアムとは、フリー(free:無料)とプレミアム(premium:割増料金)を合わせた造語で、基本的なサービスや製品を無料で多数のユーザーに提供し、さらに高度なサービスや機能を有料で提供することで収益を得る、古くからあるビジネスモデルです。

特にWeb上のデジタルコンテンツと親和性が高く、様々なサービスがあります。また、基本無料のサービスの利用や導入のハードルが低く、有料と無料のサービスや機能がはっきりと分かれていて、且つ、有料のほうが便利であることが条件と言えます。

そのためにサービスや製品に触れるハードルを下げて、なるべく多くの利用者を集めることが有効とされていますが、成功するためにはターゲットに当てはまる無料ユーザーを引き入れ、その中から一部を有料へと導くことが大切です。

フリーミアムとサブスクリプションの相違点

フリーミアムを活用したサービスの成功事例12選!失敗しないための注意点を解説
※画像はイメージです

サブスクリプション(subscription)とは、定額料金を支払い利用するサービスや製品のことです。たとえば、IT業界で言うと、サブスクリプションで「月ごと」や「年ごと」など指定された期間内であれば最新のサービスやソフトウェアを使用できます。

サブスクリプションが始まる前は、買い切り方式でした。PCを例に挙げるとOSがアップグレードされるとそれに対応したソフトウェアを買い直す必要がありました。一方でサブスクリプションは、製造元の企業がアップグレード版を提供してくれれば、買い直す必要はありません。

以上のことから、どちらもビジネスモデルですが、フリーミアムは無料が入り口でその後有料に誘導するビジネスモデルで、サブスクリプションは初月無料などといった例外もあるものの、最初から有料のビジネスモデルという相違点があります。

フリーミアムを活用したサービスの成功事例12選

以下、フリーミアムを活用したサービスの成功事例を12件挙げます。フリーミアムという言葉を知らなかったとしても、それらのサービスは世の中に既にあふれかえっています。中にはもうご利用中のものもきっとあることでしょう。

1:動画サイトの場合

1つ目の成功事例は、ニコニコ動画です。会員登録すれば無料で動画を視聴できます。

ただし、無料会員だと回線が混雑時に画像が悪くなったり、人数に制限のある配信でプレミアム会員が入ってきた場合そちらのほうが優先され、追い出されることもあります。

プレミアム会員になれば、無料会員のときの縛りから解放され、ストレスなく動画を視聴できるようになります。

2:料理レシピサイトの場合

2つ目の成功事例は、料理レシピのコミュニティサイトとして有名なクックパッドです。無料会員なら誰でも一般投稿者のレシピを見ることができます。

プレミアム会員になると検索機能が増えたり、人気のレシピランキングやアクセス数などまで調べられたり、管理栄養士が監修した献立やプロのレシピを見られたりするなど、利用できるコンテンツが格段に増えます。

3:日本最大級のグルメサイトの場合

3つ目の成功事例は食べログです。公式サイトでは「お店選びで失敗したくない人のためのグルメサイト」と謳っています。

無料会員は誰でも口コミを参考にしながら飲食店を探すことができ、プレミアム会員になると、ランキング検索ができるようになります。

また、最低でも20%OFF以上、他のクーポンよりも必ず5%以上はお得になるクーポンがもらえる特典があります。外食の機会が多く、評価の高いお店を知りたくなったらプレミアム会員になったほうが良いでしょう。

4:フリー写真のダウンロードサイトの場合

4つ目の成功事例は、フリー写真のダウンロードサイト、写真ACです。公式サイトでは、「総会員数600万人突破!高品質な写真が無料でダウンロードできて、加工や商用利用もOK」と謳っていて、約370万点のフリー写真素材・商用利用も可能な画像がダウンロードできます。

しかし、無料プランでは、「ダウンロードするのに15秒の待ち時間を要する」、「ダウンロードは一日9点まで」といった制限があります。プレミアム会員になれば、待ち時間なし、制限点数なしと、快適に利用できます。

5:ストリーミングサービスの場合

5つ目の成功事例は、Netflixです。今や各媒体で広告がされているのでご存知かと思いますが、「映画やTV番組、アニメが見放題」と公式サイトでは謳っています。

以前は、登録後1ヵ月無料体験ができました。ちなみに、2021年8月現在、無料体験は終了していますが、使用して気に入れば、月額プランに移行するという仕組みでした。

Netflixの有料会員の大きなメリットは独占作品、オリジナル作品を数多く扱っている点です。無料体験が可能だった時期にそれらを視聴していた方が有料会員になるのは、不思議ではないでしょう。

6:ラジオ配信サービスの場合

6つ目の成功事例は、radikoです。スマートフォンやPCなどの端末でラジオを聴けるサービスで、会員登録をしなくても無料で今いるエリアのラジオを聴くことができます。また、過去一週間のラジオをいつでも聴ける「タイムフリー」というサービスもあります。

月額385円(税込)のプレミアム会員登録をすることで、「ラジコプレミアム(エリアフリー聴取)」に参加しているラジオ局の放送を全国どこにいても聴くことができます。

また、エリア外のタイムフリー聴取も可能となります。全国各地のラジオ局が対象になることで、好きなアーティストの番組やスポーツ中継や慣れ親しんだ故郷の番組を聴取できることが大きな魅力でしょう。

7:オンラインストレージサービスの場合

7つ目の成功事例は、Dropboxです。オンラインストレージサービスで、個人用無料プランならば1ユーザーにつき最大2GBの暗号化されたクラウドストレージを利用できます。

ただし、無料プランには同期できる端末数が限られていたり、ドキュメントのタイトルしか検索できなかったりするなど、機能制限があります。

有料プランにすれば、それらの制限は解放され、個人契約の場合2000GBのストレージを利用でき、また、家族や友人といった最大6名までの複数人と共用することもできます。

8:個人用ドキュメント管理システムの場合

8つ目の成功事例は、Evernoteです。「仕事もプライベートもすっきり整理 ノート、タスク、スケジュールが1か所にまとめられるので、情報の記憶と目標の実現が加速します」と謳っている個人用ドキュメント管理システムです。

無料プランは、「ノートの作成数は無制限」「端末2台までデータを同期」「60MBの月間アップロード容量」「25MBのノート上限サイズ」といった機能が使えます。

有料プランを選択すると、無料プランに加え、同期できる端末数の制限がなくなったり、月間アップロード容量が増えたり、ノート上限サイズが増えたりします。

9:生放送コミュニティの場合

9つ目の成功事例は、Schooです。「大人たちがずっと学び続ける生放送コミュニティです」「予想を超えた学びに出会える」「今、学ぶべき授業を常に更新」「共に学び続ける仲間に出会う」と謳っている生放送コミュニティです。

アカウントを登録すれば、無料で生放送の授業を受けられます。

10:マンガサービスの場合

10個目の成功事例は、マンガBANGです。

「マンガBANGでは、100作品以上の様々な漫画を毎日8話無料で楽しむことができます。毎月新作漫画が追加されますので、お気に入りの漫画を見つけることができます」と謳っているマンガサービスです。

毎日最大4つまで得られるフリーメダルというものを使えば、無料で8話読むことができます。コインを購入することで、自由に読めるようになります。

11:ビジネスチャットサービスの場合

11個目の成功事例は、Chatworkです。「メール、電話、会議・訪問など仕事で必要なコミュニケーションをより効率的にする」と謳っていて、チャット、タスク管理、ファイル管理、ビデオ/音声通話ができるビジネスチャットサービスです。

フリープランだと、「コンタクト無制限」「累計7グループチャット」「1対1でのビデオ通話/音声通話」「2段階認証」「5GBストレージ」を利用できます。

有料会員になると、グループチャット数の上限が低かったり、1対1でしか通話できなかったりするビジネス上のネックから解放されます。

12:音楽ストリーミングサービスの場合

12個目の成功事例は、Spotifyです。デバイスによってサービス内容が異なりますが、無料プランだと広告が割って入る音楽ストリーミングサービスです。プレミアムプランでは、広告なしで、どんなデバイスでも無制限に再生できます。

フリーミアムで有料サービスへの移行誘因となる5つの付加価値

フリーミアムを成功させるためには、ユーザーを無料サービスから有料サービスへ移行させなければなりません。フリーミアムで有料サービスへと移行させるその誘因となる付加価値は5つあります。

1:機能を増加する

1つ目の付加価値は、クックパッドや食べログの事例で挙げたように、有料会員になれば検索機能などが増える点です。魅力的な機能が使えれば、ユーザーは課金してでも使いたいと思うでしょう。

2:容量を増加する

2つ目の付加価値は、Dropboxの事例で挙げたように、有料会員になれば容量が増えるという点です。使い続ける中でどうしても容量が気になり、もっと多く使いたいとユーザーが思えば、課金するでしょう。

3:パッケージ価格にする

3つ目の付加価値は、有料会員をパッケージ価格にするという点です。ユーザーが何かを一つ一つ買う都度課金を面倒に感じて、パッケージ価格のほうがお得だと思えば、課金するでしょう。

4:限定のコンテンツを利用させる

4つ目の付加価値は、SchooやNetflixの事例で挙げたように、有料会員になれば限定コンテンツを利用できる点です。魅力的な限定コンテンツがあれば、ユーザーは課金したいと感じるでしょう。

5:制限をなくす

5つ目の付加価値は、Spotifyや写真ACの事例で挙げたように、有料会員になれば広告や待ち時間などの制限がなくなる点です。いちいち邪魔が入るのをユーザーが鬱陶しく感じ、解放されたいと課金をするでしょう。

フリーミアム戦略を失敗しないための5つの注意点

フリーミアムを活用したサービスの成功事例12選!失敗しないための注意点を解説
※画像はイメージです

全てフリーミアムにすれば成功するというわけではありません。後で触れますが、PANDORAというアメリカのラジオ配信サービスの失敗事例もあります。以下、フリーミアム戦略を失敗しないための5つの注意点を挙げます。

1:無料と有料の境目を正確に調整する

1つ目の注意点は、無料と有料の境目を正確に調整することです。無料の範囲でサービス全体を知ってもらい有料へと移行させる必要がありますが、無料の範囲で完全に満足させてしまっては収益化できません。

2:収益化するための具体的な計画を立案する

2つ目の注意点は、収益化するための具体的な計画を立案することです。漠然とした目標ではなく、具体的な目標を設定し、課題を精査して、重要度や優先順位をつける必要があります。

3:黒字化するまでにタイムラグが生じることを念頭に置く

3つ目の注意点は、黒字化するまでにタイムラグがあることを念頭に置く必要があることです。フリーミアムでは無料コンテンツの価値が気に入られれば、有料会員の獲得が期待できますが、黒字化するまで無料の期間がある分、タイムラグが生じます。

4:無料でサービス提供する基準を時間で線引きしない

4つ目の注意点は、無料でサービス提供する基準を時間で線引きしないことです。これには明確な失敗事例があります。

先に少し触れましたが、PANDORAはというアメリカのラジオ配信サービスがありました。無料でサービス提供する基準を月間10時間未満という「時間」で線引きし、それ以上は有料としましたが、ユーザーのニーズに応えることができませんでした。

5:ターゲット顧客とサービスの利用規模を見誤らない

5つ目の注意点は、ターゲット顧客とサービスの利用規模を見誤らないことです。いくらフリーミアムでも、そもそもニーズのないサービスを作っては意味がありません。また、いくら有料の顧客が多くても、無料の顧客が割に合わないほど多過ぎてはサービスは維持できません。

フリーミアムの成功事例を参考にしよう

フリーミアムを導入する際は「無料で十分」と思われないよう工夫しながら「課金したい」とユーザーに思ってもらう必要があります。

フリーミアムの成功事例を参考にして、有料サービスへと移行させる付加価値を用意し、失敗事例にも注意しながら、サービスを創造し展開してみてはいかがでしょうか。

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