SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法
用語・フレームワーク
SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法

Share

Facebook
Twitter
はてな

SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法

記載されている内容は2021年12月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年12月27日

更新日:2022年03月01日

SWOT分析とはどのようなフレームワークなのでしょうか。本記事ではSWOT分析を活用する際のポイントやSWOT分析のやり方、クロス分析を活用した戦略立案方法などを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

SWOT分析とは?

SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法
※画像はイメージです

SWOT分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness、機会(Opportunity)、脅威(Thread)という4つの要素を視点にして、現状分析を行うフレームワークです。

SWOT分析では、自社を取り巻く外部環境と内部環境をそれぞれ分析することで戦略作成や意思決定に役立てることができます。ここでは、SWOT分析の外部環境と内部環境について解説していきます。

外部環境とは?

SWOT分析における外部環境とは、自社ではコントロールすることができない機会(Opportunity)と脅威(Thread)の2つの要素です。外部環境の例としては、市場規模や成長性、景気、競合の状況、政治や法律などが該当します。

外部環境ではまずは上記のような要素についてマクロ環境要因の分析を行い、さらに顧客や競合他社などのミクロ環境要因についても分析を行います。

内部環境とは?

SWOT分析における内部環境とは、自社でコントロール可能な強み(Strength)と弱み(Weakness)の2つの要素です。内部環境分析では、自社や社員1人1人が保有しているリソースの分析を行うことになります。

たとえば自社の認知度やブランド力、商品の品質や価格、サービス、インフラなどが内部環境の例となります。数値やデータを用いることにより、詳細な分析ができるでしょう。

SWOT分析を活用する際の4つのポイント

SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法
※画像はイメージです

実際にSWOT分析を実施する場合には、いくつかのポイントを押さえることで効果的な分析が可能です。SWOT分析を活用するためのポイントには、目的の明確化や前提時要件の整理・共有などがあります。

ここではSWOT分析を活用する際のポイントについて解説していきます。参考にしてみてください。

1:分析の目的を明確化する

SWOT分析を実施する場合は、まずは分析を行う目的を明確にしましょう。はっきりとした目的がないままSWOT分析を行うケースがありますが、何となく分析を行ったとしても成果に繋げることはできません。

また、目的を設定していないと共通した軸がないため、論点もずれてしまう原因になるでしょう。そのため、まずは目的を明確化して社内で共有しておくようにしましょう。

2:分析における前提条件を設定・共有する

SWOT分析における前提条件を設定し、メンバー間で共有しておきましょう。前提条件とは、分析対象やターゲットとする顧客の属性、競合企業などのことです。

前提条件は企業や分析を行う目的によって異なります。また、前提条件によって分析で使用される自社の強みや弱み、機会や脅威も変わります。前提条件がはっきりしないまま分析を進めてしまうと軸も定まらないため、前提条件はしっかりと整理して設定していきましょう。

3:多角的な分析ができるメンバー選定を行う

SWOT分析では「強み」「弱み」「機会」「脅威」という4つの要素について漏れなく抽出する必要があります。そのため、幅広い視野から漏れなく分析を行うためのメンバー選定を行うことが大切です。

広い視野を担保して多角的な分析を行うためには、分析する目的や対象によって経営層や営業など最適なメンバー選定を行うようにしましょう。

4:SWOT分析でできることを理解する

SWOT分析に限らずフレームワークはメリットとデメリットの両方を併せ持っているため、SWOT分析の特定を理解した上で実践することが大切です。

たとえば、SWOT分析には現在の状況の全体像を客観的にとらえられるというメリットがあります。しかし自社の内部環境を弱みか強みのどちらかにしか割り当てられないため、弱みとも強みともとれる内部環境を分類しにくいというデメリットもあります。

SWOT分析のやり方

SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法
※画像はイメージです

ここまでSWOT分析のポイントについて紹介しましたが、実際にSWOT分析を行う場合にはどのような方法で実践すればよいのでしょうか。

ここではSWOT分析のやり方を紹介していきます。

内部環境分析を行う

SWOT分析を行う場合には、自社の強みと弱みを分析する内部環境分析を行いましょう。内部環境分析を行う際には、競合などの外部環境も考慮して判断する必要があります。

また、内分環境分析はできるだけ数値やデータを根拠にすることで、正確な分析が可能になります。企業認知度やブランド力、製品の品質といった項目を使用し、客観的な分析を行いましょう。

外部環境分析を行う

外部環境は業界や業種によっても異なりますが、一般的には市場規模や成長性、景気、競合、政治や法律などの項目を使って分析を行います。

また、外部環境分析では「ファイブフォース分析」や「PEST分析」などのフレームワークを活用しましょう。ここではファイブフォース分析とPEST分析についてそれぞれ解説していきます。

ファイブフォース分析をする

ファイブフォース分析とは「業界内での競争」「業界への新規参入者」「代替品の存在」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」という5つの脅威によって分析を行うフレームワークです。

業界の収益性に影響がある上記5つの競争要因から業界分析を行い、収益性を高めるための糸口をつかむのがファイブフォース分析となります。自社にとっての脅威を分析することで業界の構造を明らかにし、自社の競争優位性を探ります。

PEST分析をする

PEST分析とはPolitics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という4つの要素によって分析を行うフレームワークです。PEST分析は環境分析におけるマクロ環境分析となっており、環境の変化や影響などを把握できます。

SWOT分析に加えてPEST分析を行うことにより、自社の事業戦略におけるチャンスや課題などを抽出することができるでしょう。

SWOT分析を活用する際の注意点

SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法
※画像はイメージです

他のフレームワークと同様に、SWOT分析にはメリットもあればデメリットもあります。そのため、SWOT分析を実施する際にはいくつかの注意点があることを覚えておきましょう。

ここではSWOT分析を活用する際の注意点を紹介していきます。

分析だけでは全てを把握できない

SWOT分析は基本的な分析フレームワークとなっているため、大まかな現状分析に適しています。その一方で、SWOT分析だけでは細かい部分まで把握することはできません。

詳細な分析を行いたい場合SWOT分析だけでは不十分なため、SWOT分析だけでなく他のフレームワークと併用して細かい分析を行うようにしましょう。

当てはまらないことがあることを理解する

SWOT分析では、自社の商品やサービスの特徴を「弱み」と「強み」という極端な分類によって分けることになります。しかし実際には、視点の違いによって弱みとも強みともとれるような内部環境も存在します。

そのため、SWOT分析はどのようなケースでも当てはまるわけではないという点は押さえておきましょう。無理にSWOT分析で分類分けを行って分析を行ったとしても、うまくいかないケースもあります。

クロス分析を活用した4つの戦略立案方法

SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法
※画像はイメージです

SWOT分析とは、自社を取り巻く外部環境と自社でコントロールできる内部環境を書き出し、プラス面とマイナス面に整理して分析を行うフレームワークです。しかしSWOT分析で強みや弱みを整理したとしても、効果的な戦術策定まで落とし込むことはできません。

そのため、これらの要素を組み合わせて分析を行う「クロス分析」を実施し、効果的な戦略策定や計画へと落とし込みましょう。ここではクロス分析を活用した戦略立案方法について解説していきます。

1:強み×機会の場合

強みと機会を組み合わせることにより、自社の強みを活かしてビジネスチャンスを掴む方法を分析することができます。自社や事業の成長を目指す場合や、自社の事業の方向性を導き出したい場合には、強み×機会の組み合わせで分析を行うと良いでしょう。

強み×機会の組み合わせは自社の強みをさらに強固にし、独自性を伸ばすためにも役立ちます。

2:強み×脅威の場合

強みと脅威を組み合わせることにより、自社の強みを活かして脅威を回避する方法を分析することができます。また、業界に対する脅威も見方によってはビジネスチャンスにもなり得るため、脅威を機会として活かすこともできるようになるでしょう。

そのため、強みと脅威を組み合わせて分析を行う場合には、脅威を回避するだけでなく機会として活かす方法まで検討するようにしましょう。機会の模索まで議論できれば、クロス分析を十分に活用できたと言えるでしょう。

3:弱み×機会の場合

弱みと機会を組み合わせることにより、自社の弱みを補強して機会を活かせる対策を分析することができます。せっかくのビジネスチャンスも、自社の弱みによって活かせなければ意味がありません。

しかし弱みと言える内部要因も、別の視点から見れば強みになる可能性があります。そのため、機会を活かすために自社の弱みを補強したり、弱みを強みに変えたりする方法を検討するようにしましょう。

4:弱み×脅威の場合

弱みと脅威を組み合わせることにより、自社の弱みを理解し、脅威の影響を避けるための対策を分析することができます。脅威のレベルによっては事業継続が困難なほどのダメージを受ける可能性もあるため、弱みについては正しく理解する必要があります。

また、被害を最小限に食い止めるためにも、自社の弱みと脅威がかち合った場合にどのようなアクションを取るべきなのか議論しておきましょう。

SWOT分析を活用することで解決できることとは?

SWOT分析を実践することにより、自社が抱えている現状の問題点を整理し、解決することが可能になります。また、現状を変える具体的な方法や、将来起こる可能性のある漠然とした問題などを整理し、対策を決定することができます。

企業がSWOT分析を活用した事例3選

SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法
※画像はイメージです

企業がSWOT分析を活用することで事象に活かした事例は数多くあります。自社でSWOT分析を実践する場合には、実際の事例を知っておくことも重要です

ここでは最後に、企業がSWOT分析を活用した事例を紹介していきます。

1:日本の大手自動車メーカーの場合

日本の大手自動車メーカーの場合、シェアの大きさゆえに車種も多く、それが原因で販売量が伸び悩むという問題を抱えていました。この事例では以下のような要素で分析を実施し、経営戦略に活かしました。

・内部環境(強み):生産数が世界トップであること、市場でもブランド力があること
・内部環境(弱み):国内販売での伸び悩み、車種が多すぎて選びにくい
・外部環境(機会):新興市場国での高い需要、低燃費車の需要も拡大
・外部環境(脅威):新興市場での競合の主力商品の拡大

2:各地方の百貨店運営会社を傘下に持つグループの場合

次に各地方の百貨店運営会社を傘下に持つグループの場合です。以下のような要素で分析を実施し、インバウンド頼りの収益構造を見直しました。

・内部環境(強み):百貨店最大手、高いブランド力
・内部環境(弱み):顧客の高齢化、新宿店の収益への依存の高さ
・外部環境(機会):百貨店を利用する外国人観光客の増加、アジア経済の拡大
・外部環境(脅威):景気低迷での個人消費の落ち込み、日本市場での高齢化

3:日本の電機メーカーの場合

最後にエレクトロニクス事業だけでなく金融やメディカル事業まで進出している日本の電機メーカーの事例です。以下の要素でSWOT分析を行い、事業に活かしています。

・内部環境(強み):国内外のブランド力、音楽や映像にとどまらない多角的な事業展開
・内部環境(弱み):水平分業モデル
・外部環境(機会):世界的な景気回復の兆候
・外部環境(脅威):世界的な競争激化、新興メーカーの参入

SWOT分析を活用して戦略立案しよう

SWOT分析とは?活用する際に知っておきたいポイントと戦略立案の方法
※画像はイメージです

SWOT分析とは「強み」「弱み」「機会」「脅威」という4つの視点で分析を行うフレームワークです。

本記事で紹介したSWOT分析を活用する際のポイントやSWOT分析のやり方、クロス分析を活用した戦略立案方法などを参考に、自社の現状分析や経営戦略の策定に活かしてみてはいかがでしょうか。

Share

Facebook
Twitter
はてな

RELATED