キャンセルカルチャーとは?具体例からコールアウトカルチャーとの違いまで解説
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初回公開日:2025年12月01日
更新日:2025年12月01日
海外での事例などが有名で、近年では日本国内においても起こり得るキャンセルカルチャー。
企業にとっては大きなリスクのひとつであり、対策が必要なものですが、中にはキャンセルカルチャーについて詳しくは分かっていないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、キャンセルカルチャーの概要や具体例からコールアウトカルチャーとの違いまで、実際の事例を交えながら解説していきます。
キャンセルカルチャーとは?社会的なメリットとその背景
キャンセルカルチャーとは、個人や企業が社会的に不適切な発言・行動を行った際に、SNSなどで糾弾し、ボイコットや不買運動などによって社会から排除しようとする動きのことを指します。
アメリカを中心に2010年代中頃から広がった動きで、日本でも近年同様の事例が多く見られるでしょう。
芸能人や政治家などの著名人が対象になり出演停止や解雇・解任などといったことが起こるほか、企業や組織もその対象になることがあり、そうなれば不買運動など、経営に影響する事態に陥ることもあるでしょう。
企業にとっては、意識しておくべきリスクのひとつだということですね。
1. コールアウトカルチャー・炎上との違い
キャンセルカルチャーと似た言葉・動きとして、「コールアウトカルチャー」があります。
コールアウトカルチャーとは他者の過ちを大衆の前で徹底的に非難する動きのことを指し、似たような意味合いでも使われることがありますが、コールアウトカルチャーは説明責任を求める動きを基本としており、キャンセルカルチャーよりも過激な運動を表すことも多いでしょう。
また、日本でいう「炎上」も、SNS上の動きとしては似ていますね。
しかし、炎上は批判・誹謗中傷に終始しており、キャンセルカルチャーは謝罪や社会的制裁を目的としている点で異なります。
キャンセルカルチャーの主な原因
キャンセルカルチャーが起こる主な原因としては、次のようなものが挙げられます。
・著名人の不適切な発言
・企業の不適切な発言・行動
・文化の違い
・偽の情報や誤解
著名人や企業が差別的な発言など、不適切な発言や不祥事を起こしてしまうことによってキャンセルカルチャーにつながるケースは多く見られるでしょう。
また、グローバル展開を行っている企業の場合、日本では問題にならないような発言・行動や広告などが他国では問題視される場合もあり、文化の違いにも注意しなければなりません。
中には、商品・サービスへの偽の情報や誤解などが広がってしまい、それを信じる人が多くキャンセルカルチャーに発展してしまう、という風評被害の可能性もあります。
海外でのキャンセルカルチャーの事例
キャンセルカルチャーについてより詳しく理解するため、実際のキャンセルカルチャーの事例を見てみましょう。
まずは、海外でのキャンセルカルチャーの事例です。
1. J.K.ローリング氏の事例
ハリーポッターシリーズの著者として知られるJ.K.ローリング氏は、トランスジェンダーの人々に対し差別的な発言を行ったことで解雇となった女性をSNS上で応援するなど、LGBTQ+への言動や姿勢が問題となり、キャンセルカルチャーの対象となりました。
この事例では、ファンの一部が指示を取り下げただけでなく、所属事務所の作家4人が事務所を離れる、博物館が展示物から氏の記述を削除するなどの事象に発展しています。
2. Black Lives Matter運動
Black Lives Matter運動とは、アフリカ系アメリカ人に対する人種差別、特に警察による暴力・殺害などに抗議する国際的な社会運動です。
奴隷制・人種差別に関わる歴史的人物の銅像の撤去・破壊や組織名の変更を求めるなどの動きがあったほか、否定的な意見を述べる人を社会的に排除しようと圧力をかけるなど、一部過激化した運動も見られます。
Black Lives Matter運動は差別に対する社会の意識改革を求める動きであるためキャンセルカルチャーとは異なりますが、一部の保守派は「歴史や伝統を否定するキャンセルカルチャーだ」として批判しており、対立構造となっています。
日本でのキャンセルカルチャーの事例
続いては、日本でのキャンセルカルチャーの事例です。
1. 東京オリンピックの問題
キャンセルカルチャーが相次いで起こったのが、2020年の東京オリンピックです。
この事例では組織委員会の会長だった森氏が女性蔑視ととれる発言により辞任に追い込まれたほか、開会式の楽曲に携わるミュージシャンが過去の発言により批判を受け辞任するなど、多くの騒動が起こっています。
2. Amazonプライム解約運動
通販サイトAmazonがCMに起用した国際政治学者による過去の徴兵制に対する発言などが問題視されたことで起こったのが、こちらの運動です。
SNS上で「#Amazonプライム解約運動」といったハッシュタグにより批判・解約を呼びかける動きがありました。
3. NIKEの不買運動
スポーツメーカーNIKEも、不買運動の対象となっています。
NIKEが差別をテーマにした動画を公開したところ、その内容が問題となり、SNS上で「#NIKE不買運動」「#ナイキのCMは日本ヘイト動画です」といったハッシュタグでの投稿が相次ぎ、注目を集めました。
キャンセルカルチャーの問題点
キャンセルカルチャーには、社会的問題の解決やトラブルの抑制につながるというその目的や予防としてのポジティブな効果があるでしょう。
しかし、キャンセルカルチャーには、過激化などによる問題点もあるとされています。
キャンセルカルチャーが過激化することで、対象者への人権・プライバシー侵害につながる可能性もある他、発信リスクの高まりにより、自由な発言を行いにくくなり、多様性の抑圧や表現の自由の侵害につながってしまうのではないかという声も上がっています。
また、キャンセルカルチャーに法の裁きを差し置いた社会的制裁が下されてしまうことで、過剰な制裁・不利益が課されてしまう可能性があるということも問題点のひとつでしょう。
企業にとっては、経営活動を安定させるためにも、キャンセルカルチャーをリスクとしてしっかり認識し、マーケティングや日ごろの発言・行動に注意するなど、キャンセルカルチャー・炎上についてしっかりと理解しておき、事前に対策を行うことが重要になります。
まとめ
今回の記事では、昨今の企業が抱えるリスクのひとつである「キャンセルカルチャー」について、国内外での事例とともにその概要や問題点などを詳しくご紹介してきました。
記事内でも幾度とご紹介したように、企業はキャンセルカルチャーについて理解しておき、対象になってしまわないよう日頃の発信や行動、マーケティング施策などは十分に注意が必要になるのではないでしょうか。
対策に不安がある方、またより具体的かつ技術的な施策を行っていきたいという方は、専門家に相談してみるのもおすすめですね。