カスハラの事例5選!カスハラの判断基準や対策方法も
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初回公開日:2025年12月21日
更新日:2025年12月21日
店舗などを経営する中で、「カスハラ(カスタマーハラスメント)」に悩まされているという人も少なくないのではないでしょうか。
従業員に対する理不尽な要求・暴言など、近年社会問題にもなっているカスハラ。
どう対応して良いか分からない、正当なクレームとの判断が難しいなどの理由から、カスハラに対して適切な対処を行えていないという方もいるでしょう。
そこで今回は、カスハラの実際の事例とともに、その判断基準やカスハラへの対策法をご紹介していきます。
店舗経営を行う皆様は、ぜひ参考にしてみてください。
カスハラとは?クレームとの違い
カスハラとはカスタマーハラスメントの略で、顧客が理不尽な要求・不適切な言動により、従業員に対して尊厳の侵害など、精神的苦痛を与える行為を指します。
クレームと混同されがちですが、クレームは「商品・サービスに対する正当な不満・改善の要求」を指しており、企業側にとっても改善に役立てられるなどの側面がありますが、カスハラは従業員・企業に対してネガティブな影響のみを残してしまいます。
近年、その数は増加傾向にあり、店舗での直接的なハラスメントからSNSなどでの悪評の拡散を匂わす脅迫など、手口も多様化していることから、社会問題ともなっているでしょう。
従業員を守るためにも店舗を守るためにも、適切な対策を講じる必要がありますね。
どこからがカスハラ?その判断基準
クレームとの判別が難しいカスハラですが、どこからがカスハラと判断されるのでしょうか。
その判断基準となるのは、以下のような点です。
・要求の内容に妥当性があるか
・言動が社会通念上不相当でないかどうか
要求する内容が店舗側に過失があるもの・妥当性があるものである場合にはクレームと言えますが、例えば「料理が口に合わない」「他の店ではこうだった」というような主観的な理由や比較を根拠にしたものであったり、「虫が入っていた」などと虚偽の主張を行っている場合にも、カスハラと言えるでしょう。
また、内容に妥当性があったとしても、従業員に対する威圧的な態度や暴言・暴力、大声で怒鳴る・土下座を要求するといったような行為がある場合には、カスハラとみなされます。
カスハラが発生した事例5選!
カスハラについてより理解を深めるため、実際にカスハラが発生した事例についてもいくつか見てみましょう。
3-1. コールセンター・お客様窓口での事例
コールセンター・お客様窓口などでのカスハラ事例として多いのが、顧客による長時間の拘束です。
あるメーカーでは、商品の説明を何度も求める、不満を延々と話し続けるなど、3時間以上も会話を引き延ばし、電話を切らないなど、相談窓口をストレスのはけ口として利用するような事例がありました。
従業員の大きな負担となるのはもちろん、他の顧客の対応ができないなど、業務にも支障をきたしてしまうでしょう。
3-2. 購入した商品への理不尽な要求の例
続いては、購入した商品への理不尽な要求を行ったケースです。
とある店舗では、購入したタオルケットに穴が空いていたとして店舗に訴えがあり、店舗は謝罪とともに返品の対応を行いましたが、顧客は返品では足りず、店舗で土下座を強要、その様子をさらにSNSに投稿した後、さらに自宅まで謝罪に来るよう要求するなど、理不尽な要求を繰り返しました。
店舗側が被害届を提出したことで逮捕に至りましたが、クレーム自体は正当な理由でも、その対応によってカスハラにあたる事例ですね。
3-3. 飲食店での事例
飲食店でのカスハラ事例も多くありますが、近年特に問題となっているのが、SNSや口コミサイトを悪用したカスハラです。
例えば「口コミで悪い評価を付ける」「SNSで悪評を拡散する」などと店舗を脅迫し特別対応を迫ったり、謝罪や金銭を要求したりといった事例ですね。
また、異物混入などの虚偽の写真を投稿する、根拠のない店舗への中傷を書き込むという、「外食テロ」と呼ばれる行為も問題となっています。
3-4. 鉄道での事例
とある鉄道でのカスハラ事例では、70代男性が加害者となり、駅員がICカードの使い方を教えたところ逆上したというケースがあります。
対応した駅員の身体を殴打するなど暴力行為に発展し、警察に通報される事態となりました。
3-5. 医療現場での事例
カスハラは、医療現場においても起きることがあります。
入院者の家族による職員への暴言や、診察に納得しなかった患者による長時間の居座り、また、「納得できないため支払わない」といった医療費支払いの拒否など、その内容は様々ですね。
中には、注射針を奪って医者に突き刺す、看護師の処置に抵抗し突き飛ばすなど、暴力行為が行われる事例もあります。
カスハラへの対策方法
それでは、企業ではこのようなカスハラ被害をできる限り避けるために、どのような対策を行えば良いのでしょうか。
企業が日頃から行うべきカスハラ対策法として、以下のようなものが挙げられます。
・対応マニュアルの整備
・相談窓口の設置
・従業員研修
・カスハラへの毅然とした態度を発信する
・場合によっては警察・弁護士に相談する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1. 対応マニュアルの整備
まずは、万が一カスハラを受けた場合に備え、対応マニュアルを整備しておくことです。
例えば、
・複数名で対応する
・録音などでカスハラの証拠を残す
・被害にあった場合の相談先
など、対応時の手順やポイントをマニュアル化しておきましょう。
厚生労働省による「カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル」を参考にするのもおすすめです。
(参考:厚生労働省|カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル)
4-2. 相談窓口の設置
こちらもカスハラを受けた場合に備えた対策として、従業員がすぐに被害を相談できる相談窓口を設置しておきましょう。
窓口として対策チームを設け、企業の担当弁護士や場合によっては警察などとも連携しながら、事実確認の上で対応を行います。
従業員がカスハラを受けた場合、店舗の責任者など上司に相談、相談を受けた対応者が内容をまとめ相談窓口に報告するなどなど、相談フローを策定しておくのも重要です。
4-3. 従業員研修
対応マニュアルが作成できたら、実際の被害の際にマニュアル通り落ち着いて対応ができるよう、従業員研修を行いましょう。
過去の事例も共有しながらカスハラのリスクを学び、カスハラに対する基本方針・対応方法に対して従業員で共通した認識を持つことで、一貫した態度でカスハラへの対応が可能になります。
4-4. カスハラへの毅然とした態度を発信する
最も重要と言っても良いのが、企業がカスハラを許さないという毅然とした態度を日ごろから発信しておくことです。
ポスターなどで店内に貼る、Webサイトにその旨を掲載するなど、顧客に対してカスハラを許さないという態度を周知することで、カスハラへの牽制となり、カスハラを防いだり、従業員の安心感を高めたりすることができるでしょう。
4-5. 場合によっては警察・弁護士に相談する
カスハラが悪質で自社のみでの対応が難しい場合には、弁護士に相談したり、場合によっては警察への通報も必要です。
暴力など従業員に危険がある場合や、何度も起こることで業務に大きな支障となっている場合など、できれば録音などで証拠を抑えながら、しかるべき機関に相談しましょう。
まとめ
今回の記事では、近年問題となっているカスハラについて、その概要や企業に対するリスク、また対策方法を、実際に起きたカスハラの事例とともにご紹介しました。
カスハラは従業員に対して大きな負担となるほか、業務に支障をきたしたり、SNS上での風評被害の原因になったりと、大きな悪影響を及ぼすため、早急な対処が必要です。
被害を抑えるためにも、毅然とした態度でカスハラへの対応を行っていきましょう。