誹謗中傷の定義とは?どこからが違法となるのかや批判との違い、対処法を解説
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誹謗中傷の定義とは?どこからが違法となるのかや批判との違い、対処法を解説

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誹謗中傷の定義とは?どこからが違法となるのかや批判との違い、対処法を解説

記載されている内容は2025年12月01日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2025年12月01日

更新日:2025年12月01日

インターネットやSNSが普及する現代で、社会問題となっているのが誹謗中傷です。
深刻なケースも多く、例えば企業においても、企業活動に影響をきたすような事態に陥ってしまうこともあるでしょう。

リスクとしてよく耳にする言葉である「誹謗中傷」ですが、果たしてどこからが誹謗中傷と呼ばれるのか、その定義はあるのでしょうか。

今回は誹謗中傷の定義や批判との違いをはじめ、誹謗中傷の法的な問題やその対処法についてまで、詳しく解説していきます。

誹謗中傷とは?

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誹謗中傷とは、根拠のない噂やデマ、悪口により、他人(もしくは企業や組織)の名誉や人格を傷つける行為を指します。

誹謗中傷は直接行われることもありますが、インターネット・SNSの普及により、インターネット上で間接的に行われることが主流となっており、情報社会での大きな課題になっているでしょう。

誹謗中傷は著名人はもちろん一般人も関係なく被害を受ける可能性もあり、また、個人だけではなく、企業もその対象となることもあります。

企業が誹謗中傷を受ければイメージ低下や売り上げ減少などの不利益を被ってしまうケースもあり、企業にとっても注視すべきリスクとなるでしょう。

1-1. 「批判」との違い

誹謗中傷と違いや境目が分かりにくいのが、「批判」です。

誹謗中傷は悪意を持って人格・外見を否定したり、虚偽の発言などを指しますが、批判とは相手の行動・意見に対する指摘や異なる意見の主張のことを指し、悪意を持って陥れることが必ずしも目的ではないという点で誹謗中傷とは異なるでしょう。

1-2. どこからが誹謗中傷になる?

「誹謗中傷」は法的な概念ではないため、法律で明確な定義があるわけではありません。
そのため、どこからが誹謗中傷にあたるのか判断するのは難しいでしょう。

目安となるのは、「単なる悪口や根拠のない虚偽の情報によって相手を傷つけている・損害を与えているか否か」という点ですね。
特定の人・組織を指していない場合、また根拠のある情報である場合には、誹謗中傷には当てはまりにくいと言われています。

誹謗中傷で成立しうる犯罪

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誹謗中傷を受けた場合、その内容によっては法的責任を追及することが可能な場合があります。

誹謗中傷で成立しうる罪としては、次のようなものが挙げられます。
・名誉毀損罪
・侮辱罪
・民事上で違法となる場合
それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1. 名誉毀損罪

まずは、刑法第230条にあたる名誉毀損罪です。
名誉毀損罪は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損する罪」です。

名誉毀損罪に当てはまるかどうかのポイントとしては、公然であること、また特定の人物の名誉が害されるような具体的な内容(真偽は問わず)であることがあります。

2-2. 侮辱罪

刑法第231条の侮辱罪は、「公然と事実を摘示しないで相手を侮辱する罪」です。

名誉毀損と異なるのは、「事実を適示しない」という点ですね。
具体的な事柄の適示でなくても、不特定多数に向けて特定の人物を侮辱していれば成立する罪で、名誉毀損よりも身近に起こりやすいでしょう。

2-3. 民事上で違法となる場合

また、誹謗中傷は民法における不法行為として、損害賠償請求の対象となることもあります。

民法第709条では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」という記載があるため、誹謗中傷によって権利・利益を侵害されたと判断されれば、賠償責任が発生するでしょう。

企業ができる誹謗中傷への対処法

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誹謗中傷を放置すれば、顧客からのイメージ低下など、経営上の損失を生む場合もあるでしょう。
企業が誹謗中傷を受けた場合には、次のような対処を取ることが可能です。

3-1. 削除請求

まず、該当の書き込みへの削除請求ですね。
各SNSや掲示板では悪質な内容の書き込みであれば削除請求を行うことができ、削除できる可能性があります。

ただ、投稿が削除されてしまうと法的措置の際に証拠が無くなってしまうため、事前に証拠保全を行うなど、削除請求は慎重に行いましょう。

3-2. 発信者情報の開示請求

法的措置を行うために、まず必要なのが発信者情報開示請求です。

これはSNSの運営会社やプロバイダに対して投稿者の情報開示を請求する手続きで、これにより投稿者を特定することで、後の法的措置につなげられます

3-3. 損害賠償請求

誹謗中傷への一般的な対処方法として挙げられるのが、開示請求により投稿者を特定し、民事上で損害賠償請求を行うという方法です。

誹謗中傷により受けた損害に対して金銭を請求することができ、任意で支払われない場合、裁判上での請求となります。
賠償額は被害の状況や誹謗中傷を受けた側の損害などで異なり、企業では事業上で損害が出た場合、高額の賠償金が認められることもあるでしょう。

3-4. 刑事告訴

本記事でも紹介したように、誹謗中傷は場合によっては名誉毀損罪や侮辱罪といった、刑法上の罪に当たる場合があります。
そういった場合には、刑事告訴を行い処罰を求めることも可能でしょう。

名誉毀損罪・侮辱罪などは「親告罪」と呼ばれる罪に当たり、これは被害者側から告訴がなければ警察などが調査・処罰することができない罪です。
そのため、刑法上で責任を問いたい場合には、企業側から刑事告訴が必要です。

誹謗中傷への対処の注意点

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前述のように、誹謗中傷へは様々な対処をとって相手に責任を問うことが可能ですが、対処時には注意しておきたいポイントもいくつかあります。

誹謗中傷対処時の注意点として知っておきたいのが、以下のような点です。

・早期対応が重要
・削除請求は慎重に行うべき
・専門家に相談すべき


まず、誹謗中傷へ対処する際はできるだけ早期に行うことが重要だという点です。

企業にとっては誹謗中傷を放置するとその情報がどんどん拡散してしまい、内容の真偽に関わらずイメージ低下を起こしてしまうなど風評被害の原因となる可能性もあるでしょう。
プロバイダなどでのログの保存期間が過ぎてしまうと、開示請求が難しくなってしまうといった理由もあります。

また、削除請求でも説明したように、削除請求は焦って行わないということです、
しっかりと証拠が保全できているかどうか、弁護士などに相談したうえで削除請求を行いましょう。

そして、誹謗中傷で最もやってはいけないのが、相手と直接対峙してしまうなど、自社で無理に対応することです。
直接相手に言い返してしまうとエスカレートしてしまう可能性もありますし、その後の損害賠償請求などで不利になることもあり得るでしょう。

誹謗中傷を受けたらできるだけ早く専門家に相談し、適切な対処を行いましょう。

まとめ

今回の記事では、インターネット社会で問題となっている、個人・企業を対象とした誹謗中傷について、その定義から成立する罪、また対処法とその注意点まで、詳しくご紹介しました。

誹謗中傷は企業にとっても、経営上で損失を生む可能性のあるリスクのひとつです。
万が一誹謗中傷を受けた場合には、適切に対処することで、被害を最小限に抑えることができるでしょう。

自社で無理に対処しようとせず、専門家の力を借りながら適切に対処していきましょう。

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